2011年12月16日

P303 減債基金の実施の問題点


債券の減債基金の実施には、

運転資本を一定率に維持するときと、
同じ問題が伴う。


債券の信託証書によれば、

減債基金の積み立てが履行されないときは、
不履行事由となるため、

受託会社が、
元本の返還を宣言すれば、

債券の発行会社は、
破産管財人の管理下に陥る。


こうした処置は、

債券保有者にとって、
何のメリットもないことは明らかであり、

実際には、

減債基金の積み立て不履行が、
直ちに、
信託証書の規定の実施につながることは、
ほとんどない。


発行会社が、
債券利払いを継続しながら、

減債基金の積み立てが困難になった、
と報告してきた場合でも、

受託会社や債券保有者が、
これといった特別な処置をすぐに取ることは、
まれである。


一般には、

発行会社が、
債券保有者に対し、

減債基金の積み立ての延期を、
正式に要請するケースが多い。


債券保有者が、
そうした要請を拒否すれば、

その会社は、
支払い不能となるため、

それらの要請は、
保有者には、
ほぼ間違いなく受け入れられる。


先の、

インターボロー・ラピッドの、
5%債の場合もそうであった。


(1922年に提示された、
同社の自主再建計画では、

同社債の減債基金の積み立てを、
5年間延期することが提案された。


これについて、

債券保有者の、
約75%が同意した。)


ところで、

運転資本の維持要件を検討したときに提案した、

ひとつの救済策、

(債券の不履行事由が起きた場合には、
債券保有者に議決権を与えること)を、

減債基金の規定にも盛り込めば、
かなり有効であろう。


というのは、

現状では、

債券保有者は、
自らの救済策を持っておらず、

発行会社を財産管理化に追い込むという、
最後の手段しか残されていないからである。


われわれが、

工業債の保護規定を強く求めるのは、

そうした規定が、
債券の安全性を確実に保証するからではない。


債券投資の成否は、

ひとえに、

その会社の財務力にかかっており、

信託証書の規定などは、
単に二次的な意味しか持たない。


信託証書や定款の規定が、
それほど完全ではなくても、

今回の大不況期でも、

それなりの価格を維持した証券の発行会社は、
このことをはっきりと証明している。


それらの証券は、
いずれも伝統ある会社の証券であり、

保護条項などはあまり必要としない、
昔ながらの優良証券であった。


一方、

巻末の参考資料では、

これと正反対のケースを2つ紹介した。


(ウィリス・オーバーランドの、
一番抵当付き社債と、

バーキー・アンド・ゲイ・ファニチャーの、
一番抵当付き社債。)


これらの社債は、

好業績と通常の保護条項で裏付けられていたが、

結果的に、

その債券保有者を、
大幅な損失から守ることはできなかった。


とはいえ、

さまざまな保護条項が、
その証券の安全性を、
100%保証するものではないにしても、

その証券の安全性を高めることは確かであり、

何らかの保護条項を付与することにも、
それなりの価値はある。










参考♪



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