投資家としての成功の秘密
2010年05月30日
投機家としての成功の秘密 6
古典経済学は、
参加者の思考に単に、
受動的な役割しか割り当てなかった。
それが、
完全な理解を仮定することを可能にし、
それは逆に、
完全競争の基礎となったのである。
その概念は、
複雑な発展を経験した。
そこでは、
完全な情報の仮定が、
完全な知識の仮定に取って代わり、
供給と需要の曲線が、
独立した所与のものとする、
いわゆる、
方法論的因習によって、
補足された。
この因習は、
市場価格が、
それらの曲線に影響を与えることができる、
再帰的フィードバックの仕組みを、
除外してしまった。
間近では、
均衡な立場からの逸脱は、
非対称の情報が、
原因とされてきた。
理論的枠組は、
少しずつ現実へと、
近づいてきたように見えるかもしれない。
実際は、
進行中の関与機能が、
考慮に入れられていないため、
現実から、
さらに遠ざかってしまった。
対照的に、
再帰の理論は、
現役の参加者を、
その出発点とする。
従って、
それは、
有益な概念枠組を、
彼らに与えることができ、
私も、
そのような方法で用いてきた。
この理論に不可能なことは、
参加者が、
公平な観察者としての立場がとれるようにすることである。
実際、
私は、
自らを傍観者の立場に置き、
出来る限り公平でいられるよう、
試みたことがある。
人から、
感情を取り除くことは、
不可能である。
ということは分かるが、
心理状態を、
出来る限り安定させることは、
外界における、
変化を見極めることができる土台を、
維持するためには、
重要である。
もし、
その土台自体が、
市場とは異なる感情に反応しているとすると、
市場における、
変化に気付くことは、
困難になる。
もし、
参加者が、
一様の動機で動いているのであれば、
その作業は、
より容易になる。
それが、
私が、
自らのファンドと、
緊密な関係を持つことによって、
成し遂げようとしたことである。
しかし、
その過程は、
合理的思考とは、
非常に異なったものを伴う、
ということが、
認識されるべきである。
それは、
感情移入と表現するほうがよいであろう。
参加者は、
市場の思考に共感し、
それを内面から理解しようとするのである。
私には、
他の投資家たちよりも、
その作業が容易に感じた。
それは、
一つには、
自分のヘッジファンドと、
緊密な関係を持ったためである。
私は、
市場が、
自分と同様に考えていると仮定し、
個人的感情から、
自らを引き離すことによって、
市場状況の変化に、
気づくことができたのである。
これは、
難しい鍛錬であった。
それは、
自分自身の感情を、
市場の感情に、
従わせることであり、
結果的に、
新たな見方をすることを、
困難にした。
私の家族には、
そのことに憤慨する、
もっともな理由があった。
私は自らを、
成功のために、
多くのことを犠牲にしなくてはならない、
訓練中の運動選手やボクサーであると考えたからである。
参考♪