証券分析 1934年版

2013年08月24日

P546 多額の減価償却費の控除を隠していた例


そうした会社の一部は、
過大な減価償却費を計上している可能性もある



1922年までの長期にわたって、
多額の減価償却費を控除していた、
ナショナル・ビスケットはその一例である。


同社は、

それまで一貫して工場を増設してきたが

株主向けの報告書を見るかぎり、

1920年を除いて、
償却可能な固定資産勘定は増えていない


株主への報告書では、

減価償却費について、
極めてあいまいな説明しかされていないが、

(1919年以前、

同社のバランスシートには

毎年、
固定資産に「減価償却勘定差引―30万ドル
」、

という記載がされていた。


どうやらこれは、

その当期に関する控除で、
累計額ではなかったようである)、


同社の財務マニュアルには、

「年間に30万ドルの減価償却費を計上し、

設備の更新や建物の立て替えに関するすべての経費は、
直接営業費用として控除している」、

と書かれていた。



この数字を見るかぎり、

工場増設に伴う設備投資額が、
本当に当期利益から控除されたのか


また、

実際の利益は、
株主に報告された当期利益よりもかなり多いのではないか


といった疑問を抱く。


1922年には、

1株を7株に株式分割したことと併せて、
現金配当も3倍に増額した、

という事実に照らせば、

同年までに実際の利益が、
かなり過小に公表されていたのは明らかである。


上記の数字を見ると、

1922年から、
工場設備勘定が増加しているのと平行して、
収益力(普通株の利益)も突然2倍以上に増えている。


*略






参考♪



a_rise at 11:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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