―第2部 優先株の理論
2011年11月14日
P234 もうひとつの追跡調査
ミシガン大学のビジネス・リサーチ局は、
このほど、
これとはまったく異なる結論を出した、
調査結果を公表した。
(ロバート・ロッドキー著、
『長期投資対象としての優先株』、
[ミシガン大学出版、1932年]。)
「債券よりも上位にある優先株」、
(いずれも鉄道株と工業株)を対象とした、
その調査結果によれば、
これらの上位優先株は、
投資対象としては、
満足すべき成果を上げていなかったが、
「債券よりも下位にある工業優先株」については、
それと反対の結果が出た。
これについての、
この調査担当者は、
「それらの優先株は、
最も厳しい投資基準もクリアしている」ため、
それらに分散投資すれば、
「工業債や鉄道債に投資するよりも、
大きなインカムゲインと、
元本の安全も確保できる」、
と述べている。
既発債を持つ優先株よりは、
そうした、
上位証券を発行していない優先株を購入するほうが、
安全である、
という考えは、
既発債を持つ優先株は、
不況期に弱い、
ということを考えると、
当然に思われるかもしれない。
われわれは、
その追跡調査には、
多くの問題があると見ているが、
その調査結果については、
高く評価する。
そこでとりわけ注目されるのは、
ほぼすべての優先株の安全性は、
普通株値上がりと密接に関係している、
という事実である。
つまり、
優先株の保有者が、
満足すべきリターンを得られるのは、
普通株に、
投機的な利が乗っているときだけ、
なのである。
逆に、
普通株が、
新規公開価格を割り込むようなときには、
優先株も、
同じ歩調をたどっている。
こうした性質を持つ証券に、
大切なおカネを投じることは、
明らかにバカげている。
それはまさに、
「表が出れば普通株の勝ち、
裏が出れば優先株の負け」、
といった、
ペテン師のセリフと同じではないだろうか。
基本的な投資原則のひとつは、
限られたリターンの証券の安全性は、
将来の大きな利益の可能性で代替できるものではない、
ということである。
もし、
投資家が、
そうした値上がり益を得ることに、
自信があるならば、
普通株を購入すべきである。
その反対に、
そうした将来の値上がり益を得ることに、
確信が持てなければ、
優先株などを購入して、
大切なおカネを、
損失のリスクにさらすべきではないだろう。
参考♪