―第2部 保護条項と証券保有者の救済策
2011年12月07日
P288 保護委員会の問題点
現在の慣行の下では、
受託会社と並行して、
保護委員会も、
独自の再建活動を展開しているが、
同委員会の活動には、
報酬という点とは、
別の理由に基づく批判が向けられている。
1929年以降、
企業再建における保護委員会の立場は、
ややあいまいで、
目立った成果も報告されていない。
それまでは、
証券を売買する投資銀行が、
不履行事由の際には、
保護委員会を組織するのが、
一般的な慣行になっていた。
しかし、
最近になって、
そうしたやり方が、
はたして妥当なのだろうか、
という疑問の声が高まってきた。
というのは、
債券保有者が、
投資銀行を、
あまり信用することができなくなり、
自らの利益を代表するよりは、
むしろ、
発行会社の利益を重視しているのではないか、
と疑うようになってきたからである。
また、
債券保有者が、
損失が出たときの、
法律上の責任主体は、
証券販売会社にある、
と考えるようになったことも、
その背景にある。
たしかに、
証券販売会社のほかに、
別の「権限ある責任者」を立てる、
というやり方は、
よく考えればおかしいことである。
そして、
そうした権限ある責任者を確保するのも、
現実には簡単ではないだろう。
証券販売会社以外に、
どのような立場の人が、
保護委員会の議長に立候補できるというのだろうか。
ときに、
2つの保護委員会が存在して、
保護委員会に預託されたおカネを、
互いに奪い合うという事態も否定できない。
さらに、
不純な動機を持つ、
いかがわしい人物が、
関与してくることも考えられる。
参考♪