―第2部 保有証券の管理
2011年12月28日
P327 投資カウンセラー
有料で投資アドバイスを提供するビジネスは、
けっして目新しいものではないが、
証券業界では、
比較的新しい傾向である。
現在では、
大手信託会社の投資部門、
統計期間の一部門、
投資カウンセラーや、
投資コンサルタントと称する民間会社、
などが、
そうしたサービスを提供している。
これらのアドバイスは、
完全に公平で、
また、
証券のセールスや売買手数料などとは無縁であることが、
大きなメリットである。
しかし、
その料金は、
平均して、
元本の年間売買高の約1/2%である。
さらに、
投資信託に限れば、
その投資顧問料は、
年間の投資収益の約1/10とかなり高くなっている。
こうした、
顧客の投資顧問料を軽減するため、
民間投資コンサルタントのなかには、
債券市場の大まかな予想をもとに、
買い時と売り時を、
顧客にアドバイスするところもある。
しかし、
一般投資家が、
債券市場で、
そうした相場の細かい波をとらえて、
利益を上げることなどできるだろうか。
もし、
債券相場の将来の方向が予測できるなら、
株式相場の将来も予測できるはずである。
それならば、
債券よりもずっと儲かる株式の売買を、
なぜ勧めないのだろうか。
債券であれ株式であれ、
相場の将来を確実に予測できるという、
こうした、
有料の投資顧問会社の言い分は、
まったく信用することができない。
さらに、
個別の優良証券の選択と、
債券相場の将来の方向について、
同時に予測することなど、
できるはずがない。
最も有利なときに証券を購入し、
高値からまさに反落しようとするときに、
それを売却する、
と口では言っても、
われわれの長い相場経験に照らしても、
そんなことは不可能である。
もしも、
一般投資家が、
自分の投資法に、
トレード的な要素を持ち込めば、
インカムゲインを目的とする投資スタンスは、
次第に崩れて、
投機の方向に向かうのは避けられないだろう。
限られたインカムゲインの確保、
という目的を考えると、
一般的な優良証券の投資において、
有料の投資顧問サービスに、
どれほど効果があるのかは分からない。
また、
純粋な投機の分野における、
この種のサービスを考えると、
もし、
そのアドバイザーが、
自分のアドバイスに確信を持っているならば、
なぜ自分で売買しないで、
コンサルタントというような、
煩わしい仕事をしているのだろうか。
このように見てくると、
証券に関するアドバイスという職業は、
投資と投機の中間的な分野で、
実際的な価値を持つのではないだろうか。
この分野であれば、
アドバイザーは、
保有証券が値下がりしたときの、
対処法と有利な乗り換え、
本質的価値をかなり下回っている、
割安証券の買い推奨、
―などについて、
投資家に適切なアドバイスができるだろう。
参考♪