―第4部 普通株の投資理論

2012年04月16日

P436 事例


この時期に、

普通株の多くが、
激しい乱高下を繰り返したことも、

多くの投資家が、

こうした考えに、
とりつかれていたことを示している。


収益の上昇トレンドを理由に、
投資家の買いを集めて急騰した工業株の多くは、

つかの間の好業績の裏で、
成長のピークに近づいていたか、

または、

すでにそのピークを過ぎていたのである。


その典型例のひとつが、

靴下メーカーの、
シュレッター・アンド・ザンダー、

(のちに、
シグナチャー・ホージェリーと改名)、

の優先株と普通株である。



同社は、

1922年に設立された前会社を継承するために、
1929年に設立され、

転換優先株、
(配当 3.50ドル)を、

1株当たり50ドルで、
4万4,810株、


普通株を、

同26ドルで、
26万1,350株、


を発行した。



それらの募集案内書には、
次のような収益実績が掲載された。



連邦税控除後の純利益
優先株1株利益
普通株1株利益


1925年
172,058ドル
3.84ドル
0.06ドル

1926年
339,920ドル
7.58
0.70

1927年
563,856ドル
12.58ドル
1.56ドル

1928年
1,021,308ドル
22.79ドル
3.31ドル


しかし、

その後の収益結果は次のようなものだった、


1929年
812,136ドル
18.13ドル
2.51ドル

1930年
−179,875ドル
−4.01ドル
−1.81ドル



1931年には、
同社の資産清算が開始され、

1933年末までに、
優先株の清算配当金として、
1株当たり17ドルが支払われた。



同社が立証した、
証券市場のパラドックスのひとつは、


収益が不安定になる、
まさにその時期に、

普通株は、
最も輝いて見えるが、

実は、

このときが一番怖い、


ということである。




しかし、


普通株が安全で有利な投資対象である、

という新しい理論は、

人々の間に広く浸透し、

多くの一般投資家が、

同社の株式に飛びついたのである。








参考♪



a_rise at 04:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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