―第4部 普通株の投資理論
2012年04月16日
P434 平均収益と収益トレンド
3社の1929年の株価と収益率の関係を見ると、
もはや、
過去の業績は、
その会社の平均収益力を表すものではなく、
収益が、
どちらの方向に向かうのかを示す目安でしかない。
代表的な企業の業績でさえも、
かなり不確実になっている現状では、
過去の平均収益が、
もはや、
将来の収益傾向を予測する、
確かな指標にならないことは、
事実であろう。
しかし、
だからといって、
「収益トレンド」が「平均収益」よりも確実な指標である、
と言い切れることができるだろうか。
たとえ、
そうであるにせよ、
収益トレンドだけを株式投資の基準にするのは、
かなり危険である。
過去数年間に、
ある方向を向いていた収益トレンドが、
これからもその方向に向かう、
と考えることは、
過去数年間の平均収益が今後も続く、
と考えることと、
基本的に同じである。
収益トレンドが、
平均収益よりも、
将来の収益傾向を占う確かな手掛かりであることは、
認めるにしても、
そのような予想が、
そのとおりの結果になる、
という保証はない。
そして、
さらに重要なことは、
そこには、
収益トレンドと株価を結び付ける論理的根拠が、
何も存在しないことである。
(新しい時代の投資理論では、
数学に基づく根拠が完全に欠落している。
株価と収益、
または、
株価と収益トレンドとの関係などは、
そのときの市場の動きで決まる。
上記の表における、
エレクトリック・パワー・アンド・ライトの、
株価と収益をみても明らかであろう。
もし、
収益と株価を比較するときに、
数学的基準を適用するならば、
それは、
期間ごとの収益から導き出した数字を、
ベースとすべきであろう)。
つまり、
収益トレンドをベースとした株式の価値とは、
完全に恣意的なもので、
そのようなものは、
いくらでも誇張することができる、
ということである。
参考♪