―第4部 普通株の分析 ― 配当

2012年06月01日

P463 要約


1. 株主にとって、

企業の配当政策は、
大きなインカムゲインが得られるという点では、
メリットである。


そして、

株式市場も低配当企業に対しては、
低い株価という評価を与えている。


しかし、

利益の多くを配当に回す代わりに、
利益剰余金として社内に留保する企業の株価は、
むしろ高くなるのが自然ではないだろうか。




2. とはいっても、

株主にとって、

留保利益よりは配当利益のほうが、
はるかに重要である。


その理由は、

再投資利益が、
そのまま、
その会社の収益力の向上につながるわけではない、


社内に留保される利益は、
真の「利益」ではなく、

それは単に、
会社を維持するための準備金である、

―からだ。


その意味では、

株式市場が、

企業の高配当を好材料と評価し、

利益の社内留保を悪材料と見るのは、

おおむね正しい。



3. 普通株の購入者が、

1の事実を認めながらも、

2の現実を承知で投資するのは、
矛盾しているのではないだろうか。


しかし、

もし、

投資家が、
これらについて考えるならば、

そうした矛盾は起こらないはずである。


利益の社内留保という慣行について、

株主が厳しく監視し、

それが、

最終的には自分の利益になるという判断に立って、

それを認めるならば、

こうした安易な慣行も次第に少なくなるだろう。


つまり、

株主が、
企業の配当政策をしぶしぶ受け入れる代わりに、

それを十分に納得して正式に認めるならば、

これに対する株式市場の疑惑も解消して、
留保利益と配当利益の両方を、
適切に反映した株価が形成されるだろう。




以上の結論は、

未分配利益の再投資が、
普通株の価値を長期的には上昇させる、

という先の検討結果と矛盾するかもしれない。


しかし、

この2つの結論は、
厳密に区別されなければならない。


例えば、

1株当たり利益が10ドルで、
7ドルの配当、

をしている企業の場合、

差額の3ドルを、
毎年、
利益剰余金として留保すれば、

その株式価値は、
数年後に、
大きく上昇するはずである。


しかし、

実際には、

その株式価値の上昇率は、
年3%の複利率より、
はるかに小さいのである。


その逆に、

3ドルを配当に回して、
7ドルを社内に留保するとすれば、

状況はいっそうはっきりするだろう。


つまり、

大幅な利益の積み増しが、
株式価値の上昇をもたらすのは間違いないが、

その上昇率が、
年7%の複利率になることなどは、
まずあり得ないだろう。



このように、

利益の大半を、
再投資利益として社内に留保することの問題点は、
明らかである。


しかし、

われわれとしては、

利益の70%を社内に留保することには、
反対するが、

その30%を、
再投資利益として社内に留保する配当政策には、
必ずしも反対するものではない。










参考♪



a_rise at 13:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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